安易な贈与にご用心!
2014/02/04みなさん、こんにちは。
任意売却コンサルタントの鈴木です。
今日は立春にも関わらず都心では雪が降るそうです。
私は寒いのが苦手ですが、春がもうそこまで来ていると思いながら乗り切っています。
気持ちの問題ですけど、やっぱりそういうのって大事ですよね!
今日は離婚前で揉めているご夫婦のお話をしたいと思います。
Aさんはお父さんから譲り受けた土地(借金ゼロ)でそば屋を経営しています。
もともと祖父の代からずっとその地で商売をしてきましたが、
さすがに建物も古くなりAさんの代で建て替えをすることを決意!
金融機関から借入して4,000万の住居兼店舗を建てました。
金融機関は当然土地と建物に抵当権を設定します。
その後Aさんは一生懸命商売を続け、返済も滞りなく切り盛りしてきました。
しかし商売が順調なのとは反対に、奥さんとの溝がどんどん深くなり離婚寸前までに。
それが5年前のことです。
その時はなんとか離婚には至らず仲を取り持ったそうですが、
やり直す条件として建物の持分の半分を奥さんに名義変更することにしたそうです!
Aさんは「仲良くやっていければいいや。」
「仮にダメになったとしても建物4,000万(さらに経年劣化で減価)の半分だけ贈与するものだ」
と、気軽に名義変更に応じました。
その時はそれでコトを収めたそうです。
しかしそれから5年。
またまた夫婦関係がうまくいかず別居になります。
しかも5年前と違い、仕事もうまくいかずAさんは金融機関への支払いが滞っている状況。
Aさんとしてはもう店を畳んで売却も検討しているようですが、奥さんが売却に応じません。
そこで当社にご相談にいらっしゃいました。
Aさんは競売になったらAさんも奥さんも損をする、
なぜ任意で売却しないのかわからないとおっしゃいます。
しかし残念ながら損をするのは・・・Aさんだけです。
Aさんは建物の評価の半分2,000万で贈与をしたと思い込んでいますが、
裁判所が土地建物を評価する場合、法定地上権も考慮し土地の評価額を減額し、
その減額分を建物に加算します。
「法定地上権」、ちょっと難しい言葉ですね。
諸条件はいろいろありますが、要するに競売で土地建物が違う所有者になることも想定し、
建物所有者には土地の利用権の権利も当然つくものと考えるワケです。
つまり建物の1/2を所有している奥さんには土地の利用権も1/2ついてくるものと考えるわ
けです。だいたい土地の価値の65%前後が建物に移ります。
金額にすると 土地8,000万×65%×1/2 = 2,600万 が
奥さんの建物に加算されるんです。その金額に基づいて競売の落札金額は分配されます。
5年前に簡単に考えた贈与。
予想以上に高くつきました。しかもこの贈与は離婚前。
離婚すれば財産分与でさらに金銭を要求されることも考えられます。
当社にご相談いただく方の謄本を見せていただくと
よく安易に贈与で持分を移転しているケースが見受けられますが、
必ず不動産のプロフェッショナルにご相談下さい。
安易な対策は後日のトラブルの元になります。